近年では話題の「働き方改革」に関連して、「健康経営」が注目されたり、
「組織オリジナルの人事制度」が次々と運用されたりしています。
そして2018年において注目キーワードになりそうなのが「ティール組織」
ティール組織の概念や、従来のマネジメント方法と比較しながら
「ティール組織」についてわかりやすく言及していきます。
☐ティール組織とは何か?
そもそもティール組織とは何なのでしょうか。
実はティール組織という概念については、2014年にフレデリック・ラルーによって執筆された原著『Reinventing Organizations』で紹介されたマネジメントの概念です。
≪ティール組織導入メリット≫
☐責任感や主体性が向上
・個人に与えられる裁量が大きいので、仕事に対する強い責任感が生まれる
・自発的に仕事と向き合い、課題を解決しながらプロジェクトを進めて行く主体性も磨かれる。
・ 能力を発揮できるフィールドを与えられることで、仕事に対するモチベーション。
☐生産性が高まる
・個人の役割や仕事だけに集中することができるので生産性を存分に発揮することができる。
☐人間関係によるストレスが軽減する
・理不尽な命令や部下のミスの尻ぬぐいなど人間関係によるストレスから解放
・「出世しないと給料があがらない」「居場所がない」といった組織的な無駄を排除できる
≪ホラクラシー型組織のデメリット≫
☐機密情報のコントロール
日本のようにヒエラルキー型組織では、経営陣のみが握っている機密情報もすべてがオープンなため、情報漏えいのリスクが大。社員の機密保持意識をどう持たせるかは課題
☐社員の行動把握が困難になる
自由であり管理する概念がないため当然ですが行動把握ができずらい
☐新メンバーが組織にフィットするまでに時間がかかる
自己の判断に任せられることが多いため、会社のカルチャーを理解し、
適応するまでに時間を要す。
☐急激な規模拡大が難しい
ホラクラシー型組織は、カルチャーに合った人材採用が重要。採用は一般的な会社よりも
時間をかけて慎重に行っている傾向が強く、組織にフィットするまでに時間がかかるため、
急激な規模の拡大は非常に難易度が高い。
≪ラルー氏の組織フェーズ五段階≫
ラルー氏は組織フェーズを五段階に分けて説明しており、
理解することでティール組織を理解することができます。
☐Red「組織を特定の個人の力で支配的にマネジメントする」
(個人の力による支配的な運営)
☐Amber「軍隊的」な組織形態。
(創造性の生まれる余地が乏しい)
☐Orange「機械的」な組織形態。
(人間らしさの喪失)
☐Green「家族」のような組織形態。
(メンバー間での合意形成に時間を要しがちムダが多い)
☐Teal「組織を一つの生命体として捉えている」
(メンバーは組織の目的を実現するため自律的に動く)
簡単に言えば、ティール組織とは「社長や上司が指示をしなくても、組織の目的実現に向けて従業員一人ひとりが目的実現のために、進むことが出来ている、独自の工夫に溢れた組織」のことです。
≪ティール組織導入することで何が起きるか≫
・組織の存在目的と各個人のミッションが上手く交わったときに、大きなエネルギーが生まれる。
・個人主体でプロジェクトを動かしていくため、管理上の疲弊や上下関係の恐れが起きない。
・ありのままの自分を受け止める体制なので、本来の自分と職場での自分が分離すること無く
個人の裁量で力を最大限活かすことができる。
≪ティール組織に欠かせない3つの要素≫
・進化する目的
ティール組織では組織の目的を「進化する目的」としています。
従来のように社長や経営層が意思決定を独断でおこなうのではなく、
組織の変化に合わせてメンバー全員で目的を進化させることが求められる。
なので、定期的にミーティングをし、数々の問いに目を向けることが重要となります。
・セルフマネジメント
指示系統のない組織であるため、メンバー全員が自己管理して目的を実現出来るように行動することが求めらる。そのためには、個々の、パフォーマンスや給料などあらゆる情報の可視化 や個人の意思決定を尊重しながら、組織のフィードバックを届くように整備すること 、人事制度における(採用・退職、給与決定など)の明確化など、メンバー全員が自己管理して目的を実現出来るような体制作りが必要になってくる。
・ホールネス
メンバーの多様性を尊重し自己実現を促し、メンバーが不安を感じないように心理的安全を担保することが求められます。人間関係を良くするトレーニングや、一定のルールをもとに、ペットや子どもと一緒に働くことを許可している、など、独自の仕組みや工夫を施している企業もあるようです。
事例
オランダの介護業界を刷新した変革者「ビュートゾルフ」
在宅介護支援の新しいモデルを提供する組織。
【ビュートゾルフの組織の特徴】
・最大12名のスタッフからなる「チーム」で構成されている。
・チームはビュートゾルフの6つの目標に沿って、自由に行動する。
・チームは介護ケアなどの実務と、採用といったビジネスの両面をこなす。
・850のチームを、45名のバックオフィスが支える。
・850のチームに15名のコーチがいて、議論の補助をする。
・すべてのチームで情報、ノウハウ、アドバイスが共有される。
・上記を支えるITツールを利用する。
アメリカのEC企業であるザッポス社(Zappos.com)
1500名程のスタッフを抱える大企業でありながら、ホラクラシーの考え方を、ほぼ正確に取り入れています。 導入当初は人事部門の2チームで実験的に取り組み、段階を踏んで全ての部署へマネジメント手法を浸透。ホラクラシーへの移行に違和感を覚え、抵抗した社員210名が退職するといった問題も発生しましたが、 自分の仕事をやり抜くという野心を秘めたメンバーだけが残る結果となり、今後の企業成長に注目が集まっています。
まとめ
今回は従来のマネジメント手法と大きく異なる考え方、ホラクラシーについてのご紹介です。上司は存在せず、ミーティングもほとんどない。組織図も、職務記述書も、肩書きもない。にもかかわらずメンバー全員が信頼に基づき、独自のルールや仕組みを工夫しながら、高い成果を実現し、社員のモチベーションは高く全員が経営にあたっている。このような、進化型の組織が、現在、海外では、たくさん生まれてきているのです。
ホラクラシー導入を検討する場合、組織全体を変えるには膨大な時間がかかります。
部署やチームといった小さな規模から始めるのが現実的でしょう。
ヒエラルキー型組織が根付いている日本社会では、どのくらい、ホラクラシーが定着・浸透していくか未知数ですが、今後、世間からどのように認識されていくのか、注目してみてください。
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